先輩のアプローチがすごい。




「やっぱり。あの時の夏祭りが原因なんだ」



先輩が意味不明なことをぼそっと口にした。




「とりあえず、会場の外行こっか」




声を出したら吐いてしまいそうだった私は、先輩の言葉に何も反応できず、されるがままで。


先輩は優しく、丁寧に私を外に連れ出した。




「水、買ってくるからちょっと待ってて」



そう言って、先輩はまたあの人混みの中に行こうとした。



行かないで……。

やだ、他の人のところに行かないで……!


「………行っちゃだめ」




軽くパニック状態の私は、自分が何を言っているかなんて一切頭にない。




「うん。わかった」



私に引き留められた先輩は私のことを背負って近くにある神社の長い階段を登り始めた。



私は登っている途中、先輩の背中で意識を飛ばしてしまった。
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