先輩のアプローチがすごい。
目を開けると、目の前には皐先輩がいた。
私は神社にあるベンチで眠っていたらしく、しまいには先輩に膝枕までされていたことに気づいた。
もちろん、すぐに体を起こす。
「こ、これは一体どういう状況で……」
会場での記憶がほぼない私はそう先輩に聞くしかなかった。
「愛莉が行っちゃだめっていうから。あげようと思ってた水も買いに行かせてくれなかったんだよ」
そんなことを私がいうはずがない。
と、頭をよぎったものの。
記憶がないんだからこれは私の落ち度。
何も言えない。
「それはまあ、置いといて。ここ、どこですか?」
「それは……お楽しみ、かな」
先輩がそう言った途端に目の前で大きな花火が咲いた。
どうやら、先輩が私を連れてきてくれた場所は花火が綺麗に見える隠れスポットだったらしい。