先輩のアプローチがすごい。
「どう?綺麗でしょ?」
「はい……すごく」
生まれて初めてここまで綺麗な花火を見た私は、先輩に対抗する暇もなくその花火に夢中になっていた。
いつもは、家の庭から小さい花火を見ていたから。
「俺、やっぱり愛莉に思い出してもらうのやめようと思う」
「いきなりなんです?」
先輩らしくない発言が飛んできた。
「俺のことを思い出しちゃったら愛莉が苦しくなっちゃうような気がして」
なんですかそれは。
私は先輩にそう聞くことができなかった。
だって、なぜかとっても悲しそうな顔をしていたから。
「そう…ですか……」
「あ、さっき買ったいちご飴あるけど食べる?」
先輩がそう言って飴を取り出した途端、いきなり頭に激痛が走った。
そして、意識を再び飛ばしてしまった。