先輩のアプローチがすごい。
「夏休み初日にある夏祭り2人で行かない?。愛莉ちゃん」
「な、名前で呼ばないでください」
それが先輩と何の関係があるのかというと、まさしく先輩がその講演会を開いた紅月クラスの生徒だからで。
先輩はあんなにちゃらんぽらんに見えるのに大企業の御曹司。
頭も良くて、しまいには顔までいい。
ブロンドに染められた少し長めのサラサラセンターパート、190cmくらいの高身長。
そして何よりもイケメン。
先輩は今ではすっかり学校に馴染んでいるが、ずっとこの学校にいたわけではない。
1年生の冬に海外留学に行っていたみたいで5月にここへ帰ってきたらしい。
今は高校3年生。
その講演会は、紅月クラスが主催する皐先輩のためのパーティーみたいなもので講演会と言えるものではなかった。
「毎年夏祭りの日は母の誕生日なので。ごめんなさい」
ごめんなさい嘘です。お母さん。
「桜木さんのお家で誕生日パーティーするの?」
「まあ、そうですけど」
「じゃあそこに僕も参加するってどう?」
「む、無理ですよ」
皐先輩はいつもこう。
あの日の講演会。
私は目立たないように過ごしていたから人気者の皐先輩の目には映るはずなどなかった。
けど、なぜか見つかってしまった。
どうして?