先輩のアプローチがすごい。
「読むっていうか、わかりやすいだけ。それに俺、この間まで留学してたから一人暮らしだったし」
「そういえばそうでしたね」
留学してたのは知っていたけど、一人暮らしなのは知らなかった。
使用人ってどこにでもついていくものじゃないんだ。
「まだ、使用人のこと考えてるでしょ?」
「だから…!」
「いるよ、実家にはね。それに留学にもついてこようとしてたし」
さっきまでの雰囲気とは変わって真面目モード。
「俺、将来医者になりたいんだよね」
「そ、そうなんですか」
「親は俺が自分の会社に入って欲しいって思ってるから。医者なんかになられちゃ困るわけ。だから、監視みたいな?」
先輩ってやっぱり、難しくて大変な世界に生きているんだ。