先輩のアプローチがすごい。
“コンコン”
ノックをして先輩の部屋のドアを開けた。
「コーヒー持ってきましたけど」
「あー、そこ置いといてもらってもいいかな?」
珍しく真面目モードな先輩。
そういえば、うちで暮らし始めたのも進路のことで家族と揉めたからって言ってたな。
「いや、やっぱりちょっとそこのソファ座って待ってて」
「なんでですか?」
「さっきのなんでもいうこと聞くの件についてお話をと思って」
あ。
完全に忘れてた。
「わ、わかりました……」
嫌な予感がプンプン漂っている。
「よし、勉強は一旦ここまでにして」
そう言って私が座っていた2人がけのソファに座ってきた。
「迎えにも椅子あるのになんで隣なんですか?」
「物理的に距離を縮めたら心の距離ももっと縮まるかなと」