先輩のアプローチがすごい。
どうせ、ダメって言ったってなんとしてでもしてこようとするくせに。
「……好きにしてください」
そう言った私の顔を見られたくなくて、美琴くんがいる方向とは逆に顔を背けた。
「やっぱり可愛い、愛ちゃんは」
いつものニヤニヤ顔で私のことを見つめて、ぐっと近寄ってきた美琴くん。
「じゃあ、するね」
そうして、わたしは190cmの大男に包み込まれた。
「愛ちゃん、髪濡れてる」
「お風呂上がりだから……です」
わたしと美琴くんの上半身がくっついているから、なぜだか動きの早い心臓の音を感じ取られてしまいそう。
わたしはそれがとても恥ずかしく感じた。
「あー。ずっとこのままでいたい。愛ちゃんいい匂いするね」
「それも、お風呂上がりだからです!!」
わたしもちょっとだけ離れたくないなんて思ったのは秘密にしておこう。
「なるほどね?」
そういうと先輩はパッと腕を解いてわたしを隣にあるわたしの部屋に送り届けた。