先輩のアプローチがすごい。
「どう?劇の調子は」
私がそう弥生に聞くと、なぜか頬を赤らめている。
「え、何その顔」
「なんていうか。歳下って思ってたよりやばいのね?」
卯月は弥生に一体何をしたのだろうか。
もしかしたら卯月の恋が実るかもしれない。
と、実行委員全員が感じ取ったと思う。
「何があったの?」
「メガネ外した卯月ってあんなにかっこよかったっけ」
さすがに、王子様がメガネをするわけにもいかず。
たったさっき卯月がコンタクトしてきていた。
「え、それだけ?」
「あとは……なんか、そろそろ押されそうっていうか」
「弥生って案外ちょろいよね」
弥生は強気な見た目とは裏腹にとっても押しに弱いタイプで、コロッと落ちてしまう。
今まで、よく耐えていたと思う。