先輩のアプローチがすごい。








「先輩、なんでこんなに席がたくさんあるのにわざわざこんな至近距離に座って来るんですか?」



私と先輩は、午前中の見回りを終えて私がよく使う静かで涼しい穴場にお昼休憩をとりに来ていた。



「だって好きな人とは近くにいたいでしょ?」


「ま、まあ……確かに」


「あれ、いつもならもっと抵抗してくるのに」



だって、近くにいたいって思っちゃうから。

1回自分の気持ちに気づいてしまったら、もう押さえが効かなくなってしまう。

溢れそうな気持ちをどこにやればいいのかわからなくなってしまう。


恋をしている自分は、いつもとは違うもう1人の自分になっているような気がしてしまう。


こんな感覚、私は知らない。
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