マグ
「ただいま」
私は静かに玄関に入った。
パパは相変わらずまだ帰って来ていないようだ。
私がリビングに入るとママと兄はまさに今、夕食を食べようとしている所だった。
ママは茶碗を手に持ったまま私に向って言った。
「手を洗って着替えて、自分でご飯をよそって食べなさい」
「はい」
私は返事をしてテーブルの上の料理を覗き込んだ。
今日のおかずはキャベツとトマトと・・・豚肉のしょうが焼きだった。
私はママに謝らないで済んでしまった。