マグ

兄はテレビから視線を外して私に振り向いた。


整った冷たい顔。


何を考えているのか察し難い表情だった。


私は唖然としたまま兄の顔に見入っていた。


「父さんが北川君のお母さんと付き合いだした頃、僕は北川君と会って話をしたことがあるんだ」


「・・・」


あまりの驚きに一瞬、言葉を失った。



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