ぼくの話をしようと思う
『じゃあ…あの、兵隊さん』
『中園』
『え?』
『自分は、中園っていうんだ』
『じゃあ、中園さん―』
ぼくは中園さんに、彼女について心当たりがないか、聞いてみた。
もし彼女がこの天国にいるんなら、見かけたり、少しくらい話したりしたことがあるかもしれないからね。
そしたら、中園さんが、びっくりすることを言ったんだ。
『それって、あの映画女優のことかな…』
…本当に驚いた。
まさかこんなに早く手がかりがつかめるなんて。
しかも「映画女優」。
つまり彼女は、天国でも女優を続けていたんだ。
『それだ!きっと間違いないと思います!』
ぼくは興奮を抑え切れなくてね、思わず中園さんの肩をつかんで言った。
『どこに行けば会えますか?!』
…それなのに中園さんは、
『もしあの女優なんだとしたら、会うのは至難の業だなぁ』
って、難しい顔をしたんだ。