ぼくの話をしようと思う




突然、歓声が湧き上がってね。



だから、ぼくも、ぼくを囲んでいた人たちも、一斉にそっちを振り向いた。



そしたら、車が入ってきたんだ。



ピカピカで真っ黒の、大きな車が。



誰が乗ってるのかは、言わなくてもわかるだろ。



ぼくは、息のを呑んで、じっと車の中の様子を窺おうとした。



でも前に人が多すぎて、全然見えなかったよ。



背伸びしたりかがんで隙間をさがしたり、必死さに関しては、ぼくが一番だったと思う。



なにしろ、それが目的でこの天国に来たんだから、必死で当たり前だけどね。



それでね。



やがて車が止まって、助手席のドアが開いた。





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