ぼくの話をしようと思う
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繭が見えなくなって、接触に失敗したぼくは、しばらくその場から動けなかった。



意気消沈しちゃってさ。



近くの植え込みの角に座って、ただぼんやりしてた。



あれだけあった人だかりも、徐々に少なくなっていった。



さっきの「彼氏騒ぎ」を見てた人は、ちょっとぼくに興味があるみたいだったけど、ぼくの様子を見て、声をかけてくる人は誰もいなかった。



…さて、次はどうしようか…―



って考えようとはするものの、思考回路がうまく回ってくれない。



頭の中は、ほんの数分前に見た繭の笑顔でいっぱいだったから。



ところがそのとき、ふいに、見覚えのある顔が目の前を横切ったんだ。



そのとき、ぼくはもう、言葉にならないほど驚いた。



だってその見覚えのある顔ってのは…。






……。







忘れもしない。






あの宗教団体の、






教祖だったんだ…。









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