ハニー・メモリー
「ねーねー、聞いてよ。あたしが子育てに疲れて寝不足になっているっていうのに、旦那はスマホゲームばっかりするんだよ。おまけに、外で飲んで朝帰りするの。ムカつくーーー」

 ルナの旦那は建築業。そこそこの収入はあるが、おっぱいハプが大好きという難点がある。

「ルナも隠れ巨乳でしょう。あいつ、おっぱいの大きな女が好きなんだよね……。まぁ、あん時みたいに不倫するよりマシだけどさぁ」

「不倫?」

「ああ、真帆ちゃんには言ってないけどさ、あいつ、前にやらしかたんだわ」

 結婚直後に建設会社の事務員と不倫の関係になった事もあるというのだが、ルナのサバサバとした表情から察するに、もう終わっているようだ。

「洸ちゃんったらさぁ、たった二回のセックスは不倫じゃないって言うんだよ。テニスのダブルスを組むのと変わらないって言うの。妊婦のあたしの身体を休めて労わりたいから他の女に手を出しただけだって言うの。あたしへの気遣いなんだってさ」

「それは詭弁だね」

「んっ? 詭弁ってなぁに?」

 ルナは、時々、真帆の言っていることが分からないのか聞き返してくる。真帆は、噛み砕いて言い直した。

「ああ、えーっと、うまく言いくるめて、ルナの怒りを逸らしているって言いたいの……」

「うん。そうだよね。あたしも、下手な言い訳だなぁと想うけど、ぶっちゃけ、妊娠中、洸ちゃんとエッチしたくなかったしさ……。その不倫相手の女も他の社員とも不倫しているビッチだったから、まぁ、ほんとに身体だけの関係なのかなぁと想って許したの」

「その女の人は、まだ会社にいるの?」

「それがねー、うちの洸ちゃんと不倫してすぐにお見合いして結婚して退社したの。ハゲでデブだけど、お金持ちなんだって。洸ちゃんの会社の取引先の人でさぁ、その女、玉の腰に乗ったって訳よ。まぁ、向こうも遊び相手と結婚相手は、ちゃーんと分けてるってことだね。洸ちゃんも、引きずらない相手を選んでエッチしているんだなぁと思って感心したよ」

 真帆なら、妊娠している時に不倫なんてされたら絶望するけれど、ルナは彼の謝罪を受け入れたという。どうも、ルナの方が旦那に惚れているようなのだ。

「あたしも、これまでに色々と付き合ったけど、一番、エッチが上手かったのは洸ちゃんなの。思った通りだったよ。エッチしてすぐに妊娠しちゃった。やっぱさぁ、夫婦の営みって大事な訳よ。身体の相性がいいと、お互いに満たされてスッキリするのよ」

 身体の相性と言われても困る。真帆は、さりげなくルナに打ち明けていく。

「あのさ、ちょっと相談したいんだけど」

「なになに、真帆ちゃん、何でも言ってよ」

「実は、東堂先輩のことなんだけど、一度は、あたしの事をフッておきながら、やっぱり付き合いたいって言うの。路上で薔薇の花束を差し出したんだよ。ルナ、どう思う?」

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