ハニー・メモリー
中世ヨーロッパの拷問部屋みたいな雰囲気になっている。SMを堪能したい人に寄り添ったマニア向けの特殊な造りになっているのか、蝋燭を模した間接照明の部屋は仄暗い。十八世紀頃の東欧の城館に踏み込んだかのようだ。未知の世界に恐れを抱きながら部屋を見渡すと、天蓋つきの四柱ベッドの四隅に手枷と足枷が装備されていたのである。
それは、手錠のようにワンタッチで嵌められるようになっている。ああ、未知の世界だ。
オドオドと室内の様子をチェックする真帆だったのだが、おやっというふうにたじろいだ。。東堂はソファの前で服を脱いで丁寧に畳んでテーブルの上に置いている。
それに倣って真帆も服を脱ぐべきなのかもしれないけれども、どうしても自分から脱ぐ気分にはなれない。
おかしい。こういう時は男性が脱がせてくれるんじゃないのかしら。ていうか、お風呂に入ってから合体するのかマナーなんじゃないのかしら?
だが、東堂はさっさとベッドに入って仰向けになっている。そして、焦れたように真帆にリクエストしている。
「真帆。僕の手足を縛ってくれないか」
仕方ないので言わるがままに四肢をガツツリと拘束していく。よく見ると、東堂は真っ赤なダサイブリーフを履いていた。
それはサイズが合ってないのかブカブカだ。あまりのダサさに驚いていると東堂が頬を歪めるようにして苦笑した。
「おかしいだろう。エリカも笑ってたよ。これ、おばぁさまが巣鴨で買ったんだ。赤いパンツを履けば、僕が幸せになると、おばぁ様は本気で信じてるからね」
今、ここでエリカとおばぁさまの名前を出すなよ……。ほんと、何なのよ。マジで心が折れそうになる。
東堂は常に受身の体勢だ。真帆からお仕置きを仕掛けてくれるのを待っている。Mは我侭。そんなフレーズが脳裏をかすめる。
「真帆……。どうしたの?」
「先輩、いつから、こういうプレイが好きになったんですか?」
本当に、純粋な好奇心で質問していた。すると、東堂が気持ち悪い台詞を口にした。
「ああ、女王様。いたらない僕の顔を叩いてくれたら何でもお話します……。どうか、ご褒美を下さい」
東堂のプレイスイッチを入れてしまったようだ。イラッ。めんどくせぇ奴だな。真帆は眉をしかめる。ついつい攻撃的になり声を尖らせる。
「先輩、いいから、言って下さいよ。ていうか言えよ! あたしの質問に答えてください」
猛烈に苛々してしまい彫刻のような腹部を踵で踏みつけると、東堂が声を上擦らせて、ああっと嬉しそうに呻いたのだった。気持ちいいのか、そのまま鼻先をヒクヒクと膨らませている。
「ほら、早く! いつもの先輩に戻って下さい」
真帆は、マジで苛々して怒鳴る。ファ多々ジーに付き合うつもりはないのだ。それを悟ったのか、彼は、どこか諦めたように苦笑すると淡々と語り出した。
それは、手錠のようにワンタッチで嵌められるようになっている。ああ、未知の世界だ。
オドオドと室内の様子をチェックする真帆だったのだが、おやっというふうにたじろいだ。。東堂はソファの前で服を脱いで丁寧に畳んでテーブルの上に置いている。
それに倣って真帆も服を脱ぐべきなのかもしれないけれども、どうしても自分から脱ぐ気分にはなれない。
おかしい。こういう時は男性が脱がせてくれるんじゃないのかしら。ていうか、お風呂に入ってから合体するのかマナーなんじゃないのかしら?
だが、東堂はさっさとベッドに入って仰向けになっている。そして、焦れたように真帆にリクエストしている。
「真帆。僕の手足を縛ってくれないか」
仕方ないので言わるがままに四肢をガツツリと拘束していく。よく見ると、東堂は真っ赤なダサイブリーフを履いていた。
それはサイズが合ってないのかブカブカだ。あまりのダサさに驚いていると東堂が頬を歪めるようにして苦笑した。
「おかしいだろう。エリカも笑ってたよ。これ、おばぁさまが巣鴨で買ったんだ。赤いパンツを履けば、僕が幸せになると、おばぁ様は本気で信じてるからね」
今、ここでエリカとおばぁさまの名前を出すなよ……。ほんと、何なのよ。マジで心が折れそうになる。
東堂は常に受身の体勢だ。真帆からお仕置きを仕掛けてくれるのを待っている。Mは我侭。そんなフレーズが脳裏をかすめる。
「真帆……。どうしたの?」
「先輩、いつから、こういうプレイが好きになったんですか?」
本当に、純粋な好奇心で質問していた。すると、東堂が気持ち悪い台詞を口にした。
「ああ、女王様。いたらない僕の顔を叩いてくれたら何でもお話します……。どうか、ご褒美を下さい」
東堂のプレイスイッチを入れてしまったようだ。イラッ。めんどくせぇ奴だな。真帆は眉をしかめる。ついつい攻撃的になり声を尖らせる。
「先輩、いいから、言って下さいよ。ていうか言えよ! あたしの質問に答えてください」
猛烈に苛々してしまい彫刻のような腹部を踵で踏みつけると、東堂が声を上擦らせて、ああっと嬉しそうに呻いたのだった。気持ちいいのか、そのまま鼻先をヒクヒクと膨らませている。
「ほら、早く! いつもの先輩に戻って下さい」
真帆は、マジで苛々して怒鳴る。ファ多々ジーに付き合うつもりはないのだ。それを悟ったのか、彼は、どこか諦めたように苦笑すると淡々と語り出した。