私は普通の恋がしたいだけ
着いたのは、都内の億ションの最上階

さすが、龍治さん

景色が最高で、広い

部屋を案内してくれたけど、ほとんどが空室

寝室と書斎くらいしか、使ってないみたいだった

キッチンも広くて、使いやすそうなのに、使われてないキッチンがかわいそうになってくる

「こーゆきー」

バンバンと自分の座っている隣を叩いて、ソファーに呼び寄せる龍治さん

口で言いなよ

隣に座ると満足そうに笑い

「小雪チャージ」

そう言いながら、膝枕をさせられる

さらさらの龍治さんの髪の毛がくすぐったい

死にそうだった1か月前の出来事が嘘のように幸せな時間

あのあと、誰も何も教えてくれないけど何となく水城組が潰されたことくらいは分かる

「小雪」

「何ですか?」

何かと私の名前を呼ぶ龍治さん

いいんだけど、辞めて欲しい

呼ばれる度にドキドキするこっちの気持ちを考えて

「呼んでみただけ」

そうやって意地悪そうに笑う

腹立たしいわ

仕返しをしてやりたい

そう思って

目を瞑って寝ている龍治さんに触れるだけのキスをした

龍治さんはビックリしてる

どうやら仕返し成功だ

龍治さんはガバッと起き上がり、こっちを見つめてニヤニヤと笑ってくる

この笑顔は、何かたくらんでる

「誘ってんの?」

「べ、別に誘ってなんかないし!」

やばい。

目の前の龍治さんは今にも襲いかかりそうな狼だ

「へー、じゃあ何でキスしてきたの?」

「仕返し、」

「じゃあ、俺も仕返し」

ソファーに私を押し倒し、私を見下ろす龍治さん

え?

なにこの状況

龍治さんが迫ってくる

また、触れ合う唇

でも、さっきみたいにすぐに離してくれない

苦しい

龍治さんの胸を押しても、叩いても退けてくれない

「…んっ!」

酸素を求めて開いた隙間から、舌が入ってきた

「…やっ…ぁ」

頭がボーッとする

なにも考えられない


やっと、離れてくれた

「可愛い…」

そう言って、私の頬を撫でる龍治さん

かっこいいなぁ

「うわぁ!私のファーストキス!」

こんなはずじゃなかった!

もっと、ロマンチックにするはずだった!

「初めて貰っちゃった」

満面の笑みでそう言う龍治さん

きっと、龍治さんは初めてじゃない

いっぱい女の人とこんなことしてる、

これ以上のことだって…

「龍治さんのばか、」

そう言って、キッチンに戻る

唐揚げを作っていく

龍治さんは私を追いかけてキッチンにきたけど、電話が鳴り書斎に行った

「はぁー、私は普通になりたかったはずなのに…」

龍治さんを好きになっちゃった

「まだ、普通とかほざいてんの?」

!?

「盗み聞きは良くないですよ!」

「別にしてないし」

そう言って、後ろからハグしてくる龍治さん

「料理してるんですけど」

「知ってる」

知ってるなら、やめろよー

「危ないですよ」

「なにもしないから」

龍治さんがしゃべる度にかかる息がくすぐったい

「好き」

ドキドキする私の心臓

「小雪は?俺のこと好き?」

心臓の音が龍治さんに聞こえてしまいそう

「小雪?」

そう言って、首にキスする龍治さん

「…っ!」

「こっち向いて」

強制的に龍治さんと向き合う形にされる

「俺のこと好き?」

「嫌いではないです、」

俯いて、そう答える

「こっち向いて」

顎を捕まれ、またもや強制的に顔をあげられた

「その顔良くない」

は?

なに?その顔良くないって

龍治さんが手で視界をふさいできた

「良くないって、喧嘩売ってるんですか?私のこと、ブスなんて思う男は嫌いですからね!」

「そうじゃなくて」

手をどかされて、目に入ってきたのは

余裕がなさそうな真っ赤な龍治さんの顔

「…たこ?」

「うるさい」

顔を隠すように、ハグをしてくるタコ龍治さん

「可愛すぎて、理性が飛びそうになるから良くないの」

「へ?」

「さっきの小雪の顔」

わたし、普通の顔だったんだけど

なんか、良くわかんないけど褒められているみたいなのでよしとしよう

「そっか」

「うん」








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