あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
「里穂、惚れ直した? 慎里、お前のお父さんカッコいいだろ」 

 コクコクとうなずいた里穂と、にぱあと顔全体で笑う慎里。
 喜びいっぱいの二人に、慎吾も破顔する。

「俺と里穂は今日と明日連休。慎里も保育園を休んで三人で遊び倒すぞ!」

 里穂が自分の拳を上げつつ、慎里の片手を共に上げておー!と賛成した。

 施設までは車で高速を使って一時間。
 おおむね開園から十五分ほど遅れただけで施設の駐車場に到着することができた。

 が、施設のチケット売り場と入場口には人だかりができている。

「……変だね? 安全対策と感染予防から完全予約制で混まないって訊いてたけど」

 里穂の呟きに、慎吾も眉を顰める。

 すぐに原因がわかった。
 五十歳くらいの男性が大きな声で張り上げていたのだ。


 
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