あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
反撃のきっかけ
慎吾は、泣きながら寝入ってしまった里穂と健やかな寝息を立てている慎里を、そっと床に敷いたブランケットにならんで寝かせた。
里穂の髪を撫ぜながら慎吾は独りごちる。
「……確かにあの日、火災報知器は鳴っていなかった」
宿泊施設には火災報知器設置が義務づけられている。
ニュースでは故障していたと報じられていたから、経営者の過失だと慎吾と友は信じこんでいた。
「俺も護孝も慌てていたからな……」
逃げるしか頭になく、出火場所まで気が回らなかった。
後年、ホテル運営に回るようになってから二人とも【おかえりやす】で火災に遭ったことを幾度も口にし、しっかりと気を配ってきたというのに。
知識のない未成年であったとは、いえニュースで報じられていた通リ、厨房からの出火だと信じて疑わなかったことを恥じた。
あのとき不審に感じたなら、ここまで里穂達家族を苦しめなかったのではないか。
慎吾は重く息を吐いた。
「……過ぎたことだ。たらればを言っても仕方ない」
自分が今、できることをするのだ。
里穂の髪を撫ぜながら慎吾は独りごちる。
「……確かにあの日、火災報知器は鳴っていなかった」
宿泊施設には火災報知器設置が義務づけられている。
ニュースでは故障していたと報じられていたから、経営者の過失だと慎吾と友は信じこんでいた。
「俺も護孝も慌てていたからな……」
逃げるしか頭になく、出火場所まで気が回らなかった。
後年、ホテル運営に回るようになってから二人とも【おかえりやす】で火災に遭ったことを幾度も口にし、しっかりと気を配ってきたというのに。
知識のない未成年であったとは、いえニュースで報じられていた通リ、厨房からの出火だと信じて疑わなかったことを恥じた。
あのとき不審に感じたなら、ここまで里穂達家族を苦しめなかったのではないか。
慎吾は重く息を吐いた。
「……過ぎたことだ。たらればを言っても仕方ない」
自分が今、できることをするのだ。