あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
 言いようのない安心感。何も怖くなくなる。
 出逢った時から彼は自分の心を占めてしまった。 
 子供が生まれてもそれは変わらない。

 慎吾に見つめられればどきどきして目をそらしてしまうくせ、彼にずっと見つめてほしい。

 触れてほしいし、触れたい。
 彼と話していると楽しくて、つい時間を忘れてしまう。
 もう、この人から離れられない。
 この人がいないと、生きることが苦しくてたまらない。

 慎吾がいてくれれば、里穂は嵐にも立ち向かって行ける。
 この人と幸せになりたい。
 慎吾と慎里、家族としてずっと暮らしていきたい。

 里穂は、自分の願いをまざまざと自覚した。
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