あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
 明日も仕事だが、通じた想いは止まれない。二人はしばし、互いの熱をわかちあう。

「里穂、愛してる」
「慎吾、私も……」


 甘くも嵐のような時間が過ぎ去り、ベッドの中で互いの体温に包まれながら寝落ちするまで喋るのは、最高に幸せな時間である。

「そのご両親から要望なんだが。俺と慎里の願いでもある」

「なに?」

「『里穂の花嫁姿がみたい!』と深沢家の意志が一致してるんだけど」

 夫からの提案に、彼女の目が丸くなった。

「……幸せすぎて、考えてなかった」

 慎里を身籠るまでは漠然と考えていたこともあるが、慎吾と再会できない以上自分は誰とも結婚しないだろうと想っていた。

「俺をもっと幸せにしてくれない?」

 慎吾がいたずらっ子のような顔で笑いかけてきた。

 彼の表情が大好きで、飽きることがない里穂はいつも一瞬見惚れてしまう。
 この日も、ポーッとしてから大きくうなずいた。
 慎吾を幸せに出来る女は自分だけだということが嬉しい。

「……と言っても問題は時期と、式の間どっちが慎里を抱っこするかだよな?」

 慎吾が笑いながら問いかけると、里穂はそうなの?と聞き返した。

 
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