あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
訪れ
「ところで十二月のシフト確認したか?」

 何かを企んでいるような表情の慎吾に聞かれたので、まだだと答えようとしたら先に宣言されてしまった。

「休みをもぎ取った! ちなみに里穂も同じ日に休みだから」

「いつ?」

「十二月の二十四と二十五の二日間」

 里穂はびっくりした。
 慎吾は反応を予想していたらしく、彼女をなだめるように髪に唇で触れたり肌を撫でていく。

「……もしかして、ひょっとしたらその二日間てイブとクリスマスって言わない?」

「言うらしいね」

 おそるおそる訊いてきた彼女に慎吾はさらっと言ってのけた。

「ホテルの従業員がその日、休めるものなの?」

 繁盛しているエスタークホテルとてこの二日間は最大の繁忙期と言っていいし、会社や職種によっては全社員が出社している日ではないのだろうか。

「護孝に出勤させることにした!」

 二度びっくりである。
 ついで、夫の言葉の意味を理解した彼女は青くなった。

 
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