あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
 ――結局、イブは三人だけで過ごし、翌クリスマスは深沢の家にお邪魔することになった。

 里穂はワクワクしながら、慎吾や慎里そして深沢の両親や隠岐家にも贈り物を用意した。

 隠岐家とのプレゼント交換は二十八日に行う予定だ。

 家族中で楽しみにしていたイブ当日。
 あいにく里穂はイブの朝から具合が悪かった。
 微熱があり体はだるく、そして眠い。食べ物の匂いが辛い。

「大丈夫か」
「うん」

 心配してくれる夫に、里穂はなんとか微笑む。

 多分……。
 里穂はお腹をそっと撫でた。
 ここのところ、生理が来ていない。
 そして、慎里を妊娠したと分かった時の症状と似ている。

 あとで、こっそり買っておいた妊娠検査薬を試してみよう。
 そう考えるだけで、彼女の顔に溢れんばかりの笑みが浮かんでくる。

 里穂はトイレに行き……、特大のクリスマスプレゼントが家族にやってきたのを知った。

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