恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。
福祉用具専門相談員


 まだ寒さが残る二月。


「……九条ケアまでサ担会に行って来ますね」

「行ってらっしゃい」


 カバンにファイルに纏っている資料一式を持ち事業所を出た。
 私、宗尊(むねかた)千花(ちか)は福祉用具販売所で専門員として働いている。今から向かうのは、老人保健施設である九条ケアセンターだ。今担当をしている利用者さんについてのサービス担当者会議にそこまで赴かないといけない。


「あれ、千花。今から外?」

「うん。九条ケアでね、担当者会議があるから」

「そうなんだ、頑張って〜」


 ここから九条ケアまでは徒歩圏内で十分くらいだ。いつものように歩いてケアまでつくと、受付で入館証を受け取り応接間まで案内された。応接間と言っても会議室だけど……

 応接間でいつもの定位置に座り待っていると、ドアが開き男性が入ってきた。


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