恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。


 ***


 それから、グループでの食事をしながら自己紹介をして話をして席替えをして……すると今度は個人個人でのフリータイム。
 そのフリータイムが、今のこの時間なんだけど。


「はぁ……なんか、ずっと食べてる気がする。話せないし、やっぱりつまらないなぁ」


 壁の花になっている私と違って、美奈代はたくさんの男性に囲まれてるし。
 相変わらず、おモテになっていることで……


「飲み物でも取ってこよー……ケーキも美味しそうだなぁ」


 食い意地はってるみたいだが、断じて違う。することがないだけだ。



「……あれ、宗尊さん?」



 後ろからなぜか聞き覚えがある声がした。名前を呼ぶくらいだし、知り合い……かな。知り合いなら会いたくなかったと思ったがスルーは出来ず、振り向く。


「え、岩崎さん!?」


 数日前、九条ケアの仕事で会ったばかりの岩崎さんがいた。あの時とは違い、スーツを着てるからか別人のようだった。



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