恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。


 ……というか、岩崎さんが婚活パーティーってなんだか似合わないんだけど。


「宗尊さんもこういう場所に来られるんですね」

「えっ、あ、私は来る予定じゃなくて。本当は友人が違う方と来る予定だったのですけど、その人にドタキャンされたらしくて補欠要員です」

「そうなんだ。俺は、頼まれて」


誰に何を頼まれたんだろう……弱みでも握られてるのかな。


「ここの主催者、鮎川と久我とは友人でね。それでチケットというか招待券をもらったんだよね」

「そうなんですね、じゃあ岩崎さんもお金持ちというかそういう感じの方ですか?」

「俺は違うよ。一般家庭出身だから……あの二人とは高校が一緒だったんだ。金持ち学校だったんだけど、特待生で通ってたんだよね。そこからの縁でずっと仲がいいんだ」


 特待生……え、すごい。じゃあ、とっても頭がいいってことだよね。
 でも、仕草とか言葉遣いとか上品だしお金持ちの学校に行っていたなら納得だ。


「せっかくだから、何か話しませんか? 一応、フリータイムだから……あ、ケーキ一緒に取りに行きません? 美味しかったですよ」

「そうですね。では、お供させてください」

「是非是非、行きましょう」


 岩崎さんを誘って私はケーキバイキングになっているテーブルへと近づくと、取り皿に数種類のケーキやプリンを乗せて二人で座れる場所へと向かった。


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