恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。


 会社の近くにあるカフェまでは歩いて十分ほど。そこはよく、お昼にも利用している場所だ。


「いらっしゃいませ〜あ、千花さん! こんにちわ」

「こんにちわ」


 カフェに入るといつもいるバイトの女の子が迎えてくれる。


「いつものでいいですか?」

「うん。よろしくお願いします」

「かしこまりました。少々お待ちください〜」


 女の子はそう言って厨房スペースに行くと、手際よく紅茶を淹れているのが見えた。若いのにすごいなぁ、なんて思いながらスマホを取り出すとまだ十七時三十分を過ぎたばかりだった。


「お待たせしました。紅茶です。砂時計が全部落ちたらこちらのポンプを押してください」

「ありがとう」


 テーブルには、ポンプ式の茶葉とお湯が入っているティープレスと砂時計、ティーカップが置かれた。砂時計が落ちる時には美味しい紅茶ができる。そのポンプを押すと、容器の底に茶葉を閉じ込めるのでことができ色々な道具を使わなくても紅茶がうまく淹れられるし自分の好みの濃さができるからとてもいい。

 砂時計の砂が全て落ちて私はポンプを下げると、ティーカップに注いだ。


「……美味しい〜癒されるなぁ」

「千花さん、今日は早く上がったんですか? それにおしゃれですね! デートですか?」

「違うよ。ご飯食べに行くだけですよ」

「やっぱりデートじゃないですかぁ……」


 若い子は鋭い……まぁ、恋愛経験豊富そうだし。
 だけどこんなに言われたら、これはデートなんじゃないかと思っちゃうじゃん。



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