恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。



「宗尊さんに言われるのは嬉しいですね。ありがとうございます……立ち話もあれですし、行きましょうか。車がコインパーキングに停めてあるので」

「そうなんですね。すみません、車出していただいてしまって……」

「いえ。こちらこそ、時間通りに来れなくてすみませんでした。現場の方に顔を出していたらトイレ介助やら着替えやらを手伝うことになってしまったんです」


 あははと笑う岩崎さんだけど、いや笑えない。
 経験あるし、手伝いするほどってことは人が少なくて絶賛カオス状態だったってことで……逆に早く帰っても大丈夫なのか心配になります。


「あの忙しそうなのに退勤してもよかったんですか?」

「はい。元々は現場勤務じゃないですしね……それに今日は定時で上がりたいと言ってあったんで。まぁ、うまい感じで抜け出さないと永遠に帰れませんしね」

「あー確かに。残業一時間とか普通にありますよね」

「ですよね、本当に宗尊さんも現場経験者さんなんですね」


 そんな話をしながら、コインパーキングに到着する。コインパーキングに入ると、奥にある白い軽自動車を岩崎さんが指を差して「これです」と言って鍵のロック解除をしてから助手席のドアを開けてくれた。


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