恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。
「どうぞ、乗ってください」
「ありがとうございます、お邪魔します」
私が助手席に座ると、岩崎さんはドアを閉めてくれて運転席に回って来た。シートベルトをしていると、車がとてもいい香りがするのに気づいた。
「宗尊さん、車臭くない? 大丈夫かな?」
「はい。全然大丈夫です……逆にいい香りで、あっ変なこと言ってすみませんっ」
なんか、変態みたいな発言をしてしまった。
「いやいや、臭くないならよかった。宗尊さん、香水みたいなきつい匂い好きじゃないって言ってたから無臭に近い石鹸の香りにしたんだよね」
「え、私香水の匂い好きじゃないこと岩崎さんにお伝えしましたっけ……」
「あっ、聞いたんだ。前に会った時に、言っていたと思う。予約の時間迫ってるから出発するよ」
「はい。よろしくお願いします」
岩崎さんはエンジンをかけて出発させるとコインパーキングから出て今からご飯を食べる場所へと向かった。