恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。


 車を走らせること三十分ほど経ち、最寄駅の近く少し細い道を行くとこじんまりした隠れ家的なお店が見えた。


「ここだよ。到着」

「ありがとうございます。なんか普通の住宅っぽいですね」

「うん、そうだね。でも中は素敵な雰囲気なんだよ、宗尊さんも好きだと思う」


 岩崎さんは車を一発で駐車を決めて車から降りると助手席のドアを開けてくれて手を差し出して私が降りやすいようにしてくれた。この人モテる人だわ……こんなことをスマートにできるんだもん。紳士的な行動は一日や二日じゃ身につかないんだから。

 岩崎さんの完璧なエスコートを受けながら、お店のドアを開けると普通な住宅からアンティーク調の雰囲気が広がっている。とてもおしゃれだ。


「いらっしゃいませ。ご予約の方ですか?」

「はい、予約をした岩崎です」

「ご予約ありがとうございます。岩崎様ですね、お待ちしておりました……こちらへどうぞ」


 店員さんに【予約席】と書かれている半個室のテーブル席に案内された。



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