恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。
結局、昨日のことは聞けないまま朝食を食べるために陽世さんのお部屋をでて全国チェーン店である喫茶・笑楽という喫茶店にやってきた。
「千花ちゃん、何がいい?」
「えっと……」
私はこんなに悶々として心の中がぐちゃぐちゃになってるのに彼はメニューを見ながら楽しそうだ。きっと、こういうの慣れてるんだろう。恋愛経験も、異性と関わるのも免疫のない私とは違って。
「……千花ちゃん、大丈夫?」
「えっ、あ、うん。大丈夫。私は、カフェラテにして小倉トーストにします」
「分かった。体調が悪いなら言ってよ?」
そんな会話をして店員さんに注文する。
その後は長い沈黙が走った。どうしよう、これ……昨夜のこと、聞いた方がいいのかな。
「あの、陽世さんっ」
「ん?」
「昨日のこと、なんですけど……」
いや、待てよ。これ、なんて聞くんだ?
昨日、私たち体重ねましたか?なんて聞けないし。
「ーーお待たせしました! カフェラテと小倉バターで、アメリカンコーヒーと苺ジャムです」
私がうだうだしている間にモーニングセットは運ばれてきて先に食べることになった。朝何も食べてないし、お腹がペコペコだし……どう切り出した方がいいのかわからなくて少しだけ助かった。
それから、バタートーストを一口サイズにちぎって餡子を乗せて口に運ぶ。小豆の独特な香りと砂糖の甘い香りが鼻いっぱい広がって美味しい。香りと空腹が食欲を増進させてパクパク食べてしまい、ゆで卵もいい塩加減でおいしくてペロッと食べてしまった。
「千花ちゃん、話があるんだ。聞いてほしい」