恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。


 ***


「……宗尊さん? おーい」

「え、あっ。はい、すみません。えっと……これですよね?」


 営業車に納入する福祉用具を積み込むと、私は車に乗り込んで利用者さん宅に向かう。これから伺うのは、以前打ち合わせをした山田肇さんの家だ。今日はご本人と家族様に福祉用具の組み立てをして使い方や注意した方がいいことを説明をすることになっている。


「宗尊さん、本当に大丈夫なの? 体調、悪いんじゃない?」

「いえっ! そんなことないです。では、行ってまいります」


 体調が悪いんじゃなくてただ寝不足なだけなんです……あれから、全く眠れていない。そわそわして、陽世さんに仕事で会ってもめちゃくちゃ早口になってしまっているし。

 今日も、彼に会うというか一緒の仕事だし……少しだけ憂鬱。仕事なんだからしっかりしないといけないけど。
 会社から三十分ほどかけて、隣町に入ったところの住宅街へと補助の相談員の三人と一緒に向かう。営業だけなら私一人でいいけど、今日は介護用ベッドの搬入もあるし一人っきりじゃ運ぶのは難しい。




 
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