恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。
そんなこんなで、わたしは彼らと別れて陽世さんの車に乗ることになった。
「お邪魔します……」
「会社の車だから、匂いきつかったらごめん。汚いかも」
気温が高いから少し車内はムンムンしていたけど、匂いは気にはならなかったし汚くもない。
「この近くに、美味しいラーメン屋さんがあるんだよ。一緒に行かない?」
「……行きます」
「あっさりしたのがたくさんあるから女性に人気なお店なんだ。とてもうまいから千花ちゃんも好きだと思う」
「……そう、なんですね」
なんとか返事をするけど、とてもドキドキする。今、ラーメンのことは考えられない。
「千花ちゃん、この前のこと俺は本気だから」
「……っ……」
「本当に君のことが好きなんだ」
「それは、責任を取らないといけないって思っているからじゃないんですか」
陽世さんは責任とあの日の夜のことが重なって、恋愛感情を持ってるって錯覚しているんだと思う。冷静になれば、きっとお酒も入ってたし一夜の過ちだったって気づくはずだ。
それに、こんなかっこいい人が私を好きになるはずがないもの……
「違う、違うよ。千花ちゃん。俺は本当に君のことが好きなんだ」
「だけど、私と陽世さんとはあの日が初対面じゃないですか? 前から好きだなんてとって付けたような……」
「俺、君が学生の時に会ってるんだ」
「学生の時って……実習先、にいたんですか?」
実習先なら、覚えてると思うし……