恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。


「実習じゃないよ。俺、千花ちゃんと専門学校が同じだよ。一つ上で、運動会の実行委員会で一緒だったんだけど」

「運動会……あの十月のですか? 私、途中から参加したから関わりなかったと思いますよ」


 一年生の時のイベント運動会で私は実行委員として途中参加だった。元々実行委員だった人が退学してしまって一番暇だった私がそこに入ることになって……だけど、中々馴染めなくて大変だったのを覚えている。


「千花ちゃん、途中参加だからって差し入れにお菓子持って来てくれてそこで知ったんだ」

「そう、なんですか」

「……うん。あの時は遠目で見ただけだったけど、すごく可愛いなって思った。一目惚れ、っていうものだと思う。まぁ、話す機会なかったけどずっと好きな気持ちは消えなくて。けどさ、まさか九条ケアの隣で千花ちゃんが働いているなんて思いもしなかった。正直、チャンスだと思った。近づきたいって思った。そしたら、一緒に仕事をするようになってもっと好きになった。仕事をしている姿の君はかっこよくて」

「……っ……」


 こんなに男性に好意的な言葉を言われたことがなくてなんて返したらいいのかわからなくなって、声が出ない。


< 27 / 38 >

この作品をシェア

pagetop