恋愛したことのない仕事人間が、真っ直ぐに愛を告げられまして。
***
ひどい顔をしているのが分かっていたから私は、このままじゃ会社には戻れないと思って公園に寄ってブランコをゆっくり漕いでいた。漕いでないと、泣いてしまいそうだし息をするのが苦しくなりそうだったから。
「ーー千花ちゃん!」
「ぁ……陽世さん、心配で来てくださったんですか? ふふ、」
彼の目を見ることができなくて俯きながらそう言った。
「ごめん、守れなくて。俺がくるのが遅かったのも原因だ……」
「陽世さんは責任感強いですね……大丈夫ですよ。現場は何があるのかわからないですし、予想もできない。私も出しゃばってしまったし、お互い様です。あ、もしかして美奈代から聞いちゃいましたか? 私のトラウマ」
「うん。ごめん」
「全然、だけどみっともないところ、知られちゃったなぁ。陽世さんには知られたくなかったな」
ふと、そう思った。私って、陽世さんのこと好きなんじゃん。
こんなことになって好きだって気づくなんて……
「俺は、知りたいですよ」
そう言って陽世さんも隣のブランコに乗った。