"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
ぐったりとしている真琴を恭平が優しく抱き寄せる。

「シャワー浴びますか?」

「ん?俺はまだこうしていたい。真琴は嫌か?」

首を横に振る。

「私、今、とても満たされてます。恭平さんのこと、最初は嫌な人だなぁって、ずっと避けてたのに、こんなに好きになるとは思ってもみませんでした」

「そうだよな。初対面の俺は、本当に最低だった。だがこうして、真琴は俺を受け入れてくれている。これは奇跡だな」

「うふふっ、奇跡なんて大袈裟すぎませんか?」

「大袈裟なんかじゃない。奇跡なんだ。真琴、君は、ずっと前から俺の中に存在していた」

「それは、洸平さんから私のことを聞いて、知っていたからではないのですか?」

「いいや。洸平は、女神に出会ったとしか教えてくれなかった」

「女神⁉︎」

「そうだ。洸平にとって、真琴は女神なんだ」

「どうしてそんなことになっているのでしょう?」

「洸平も言っていただろう。君がいたから今の自分がいると。洸平はあまり人に心を開かない。ある意味真琴に似ているかもしれないな。そんな洸平の心をあっという間に掴み、開いてしまった。まさしく女神だ。俺は、そんな女神の存在がずっと気になっていた。もう10年以上だ。神戸で君に一目惚れして、しかも君が女神だとわかった時、運命というやつを信じてみようと思った」

「どうして私が女神だと?」

恭平はサイドテーブルに置いてあったスマホを手に取り、何かを打ち込み始めた。

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