"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「冗談なんかじゃないぞ、俺は本気だからな」

冗談ではないことぐらいわかっている。わかっているが、突然のプロポーズに思考が停止する。

「俺は、いつでも結婚したいと思っている。今すぐにでもだ。真琴が俺を受け入れてくれたその日に、実はプロポーズをしたいと思っていた。だが、それはさすがに引くだろう?俺はずるい男だ。真琴が逃げられないよう囲い込もうとしている。一緒に住まわせようとしているのも、実家に挨拶に行くのも、真琴を失いたくない俺のエゴだ」

「恭平さん……」

「だからな、俺は、俺を失いたくないと真琴に直接言われて既に限界だったんだ。そしたら、ずっと傍にいていいかと訊いてくるじゃないか。無理、もう無理だ。抑えられなかった。結構考えてたんだ。いつ、どんなシュチュエーションなら喜んでくれるだろうかとか、あぁぁぁぁ、何やってんだろうな俺」

頭を抱える恭平の姿が愛しい。愛情の塊だ。

「恭平さん、母には結婚を前提にお付き合いしているって、報告ですね」

「え?」

ゆっくり顔を上げた恭平に微笑んだ。

「今、なんて?」

「結婚前提のお付き合いです」

恭平は勢いよく抱きつき、真琴はソファーに倒された。

「末長く、よろしくお願いします」

「あぁぁぁぁやばいな!これは本当にやばい。やっぱやめたは受け付けないぞ」

「ふふっ、それはこっちの台詞です」

「よしっ!真琴、出かけるぞ」

「え、どこへ?」

「指輪を買いに行く」

「え⁉︎ 今からですか?」

「そうだ」

「でも、勝手に決めて、恭平さんのご両親は驚かれるんじゃないですか?反対されるかもしれないし」

「反対はしない」

「どうしてそう言い切れるんでしょう?」

「真琴だからだ」

「え?」

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