"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「もういいっ！恭平さん、帰りましょう」

その時だった。
店の玄関ドアが豪快な音をたて勢いよく開き、見知らぬ女性がズカズカと入り込んで来た。呆気に取られていると、女性は直子の前に立ち、この世のものとは思えないほどの形相で直子を見下ろした。

「叔母さん！！！」

「恭平さん、あなた騙されているのよ！いい加減目を覚ましなさい」

「は？意味がわからないな。目を覚ますのは叔母さんの方では？」

女性はフンッと鼻を鳴らし、直子を睨みつけた。

「娘を使って嫌がらせ？それとも復讐かしら？私の可愛い娘の恋路を邪魔するなんて最低ね！」

「叔母さん、もういい加減にしてくれ！」

恭平が勢いよく立ち上がる。

「いったいなんなんですか！なんの権限があってこんな卑劣なことをするんですか！ふざけるな！」

「恭平さん、あなたは何も知らないのね」

「あ？」

「この人、大佑さんを私に取られたからって、私たちに嫌がらせしてるのよ。あ〜ら、あなたね、雪乃から恭平さんを奪おうとしてるのは。母娘ろそってそっくりじゃない！男をたらしこむ天才」

蔑むような目で真琴を見やった。
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