"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
マンションに帰り着いてからは、真琴が質問攻めにあう。

宝来の行動を見ていてなんとなくそうではないのかなぁかと感じていたと言えば、一番近くにいたのに全く気づかなかった。親友失格だ。などと言い出し、かなりの落ち込みようだった。

そんな恭平の背中を真琴はそっと摩る。

「恭平さんはそれで良かったんです」

「何故だ?」

「恭平さんが気づいてしまっていたら、宝来さんは仕事、やりにくかったんじゃないでしょうか。きっとそうだと思います」

「真琴……」

「ほら、そんなに落ち込んでいたら、赤ちゃんが心配しますよ。パパ、どうしちゃったんだろうって」

恭平は子供のように抱きついてきた。

恭平の全てが愛しい。こんなふうに落ち込んで肩を落とす姿も、欲望を曝け出し真琴を求める姿も、ピンチの時には人目を憚らずお姫様抱っこしてくれる姿も、狂おしいほどの独占欲も、やきもちをやく姿も、愛しくて愛しくて堪らない。

「恭平さん」

真琴は呼吸を整えた。
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