"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
真琴の視線の先にいるのは、間違いなく、オセオンを誘拐したあの男性だった。勿論、彼のやや斜め後ろについているのは、秘書の宝来だ。
真琴は思わず目を背けた。もう二度と会うことはないだろうと思っていた相手が、翌々日に自分の目の前に現れるなど想像もしていない。
そして、真琴は重大な事実に気がついた。
秘書の宝来は、社長秘書だ。社内で数回お目にかかる社長の斜め後ろを、今のように歩いていたのを思い出した。
真琴の身体から血の気が引いていく。
何故早く気づかなかったのか。いや、気のせいにしてしまったのは自分だ。どちらにしろ、社員としてあるまじき行為をとってしまった。
どうしよう…
そうだ!きっと、向こうは気づかないはずだ。メガネもかけているし、ほぼノーメイクだし、服は地味だし、どこをどう見ても、あの日のお洒落な真琴ではない。
しかも、専務という立場だ。大勢いる社員の下っ端まで把握などしないだろう。接触さえしなければバレることはない。
真琴はそっと引返し、人だかりの後ろを回り込むようにエントランスを目指した。
真琴は思わず目を背けた。もう二度と会うことはないだろうと思っていた相手が、翌々日に自分の目の前に現れるなど想像もしていない。
そして、真琴は重大な事実に気がついた。
秘書の宝来は、社長秘書だ。社内で数回お目にかかる社長の斜め後ろを、今のように歩いていたのを思い出した。
真琴の身体から血の気が引いていく。
何故早く気づかなかったのか。いや、気のせいにしてしまったのは自分だ。どちらにしろ、社員としてあるまじき行為をとってしまった。
どうしよう…
そうだ!きっと、向こうは気づかないはずだ。メガネもかけているし、ほぼノーメイクだし、服は地味だし、どこをどう見ても、あの日のお洒落な真琴ではない。
しかも、専務という立場だ。大勢いる社員の下っ端まで把握などしないだろう。接触さえしなければバレることはない。
真琴はそっと引返し、人だかりの後ろを回り込むようにエントランスを目指した。