"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
女神
◆◆◆◆◆
「声優になりたい!」
洸平の突然の意志表明に恭平は目を丸くした。
幼い頃から人見知りで内気な洸平は、恭平の背中に隠れるように生きてきた。パニック障害も抱えており、何をするにも恐怖が先立ち、自分では物事を進められない。必ず恭平に相談し、確認をとる。そんな洸平を、恭平は支え、守ってきた。
それが一変したかのような清々しい表情で意志を示したのだ。
「声優⁉︎」
「うん」
「洸平、今の声優は、自ら表舞台に立ったりしているんだぞ。お前は」
「わかってるよ!」
強い口調で遮られた。
「兄さんの言いたいことは、痛いほどよくわかってる。大勢の人の前に出て、パニック障害が酷くなるかもしれないからでしょ」
「だったら…」
「合格したんだよ」
「は?合格?」
「うん」
「何に?」
「オーディション」
「はぁ?」
「今度、新しく携帯ゲームが配信されるんだけど、その中の登場人物の声を募集してたんだ」
「それに応募して合格したのか?」
「うん」
「お前、いつの間にそんなことやってたんだよ」
「修学旅行から帰ってきてから」
修学旅行は5月だった。もう半年も前のことだ。近くにいて気づかないとは、洸平を守ってきたなどと、驕りもいいところだ。
恭平は自嘲した。
「声優になりたい!」
洸平の突然の意志表明に恭平は目を丸くした。
幼い頃から人見知りで内気な洸平は、恭平の背中に隠れるように生きてきた。パニック障害も抱えており、何をするにも恐怖が先立ち、自分では物事を進められない。必ず恭平に相談し、確認をとる。そんな洸平を、恭平は支え、守ってきた。
それが一変したかのような清々しい表情で意志を示したのだ。
「声優⁉︎」
「うん」
「洸平、今の声優は、自ら表舞台に立ったりしているんだぞ。お前は」
「わかってるよ!」
強い口調で遮られた。
「兄さんの言いたいことは、痛いほどよくわかってる。大勢の人の前に出て、パニック障害が酷くなるかもしれないからでしょ」
「だったら…」
「合格したんだよ」
「は?合格?」
「うん」
「何に?」
「オーディション」
「はぁ?」
「今度、新しく携帯ゲームが配信されるんだけど、その中の登場人物の声を募集してたんだ」
「それに応募して合格したのか?」
「うん」
「お前、いつの間にそんなことやってたんだよ」
「修学旅行から帰ってきてから」
修学旅行は5月だった。もう半年も前のことだ。近くにいて気づかないとは、洸平を守ってきたなどと、驕りもいいところだ。
恭平は自嘲した。