"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
この後すぐに社長から連絡があり、話し合いを重ねた。社長は洸平の声にかなり惚れ込んでいたようで、顔出ししないというスタンスもありではないだろうかと、容認してくれた。
【羽梢斗久麻(はこずとくま)】
洸平自身が名づけた芸名だ。
「どうしてその名前にしたんだ?」
「この中に、女神がいるから」
洸平はそれ以上何も言わず、爽やかな笑顔を恭平に向けた。
それから羽梢斗久麻としての声優人生が始まる。
キャラクターに声を吹き込んでいる姿は、まさしく水を得た魚のようだった。
普段の穏やかな口調からは想像もできないほどの冷徹さを含んだ声で見事に演じ、配信がスタートすれば、顔出ししないというミステリアスさも相乗効果を生み、人気を博していった。
声優になりたいと宣言し、1年半でここまでやってのけるとは、さすがの恭平も舌を巻いた。同時に、自分の後ろに隠れるように生きてきた洸平が、何故ここまで強い意志を持ち前に進むことができるのか、その根底にあるものを知りたいと思った。洸平の言っていた女神という存在が影響していることは確実だ。
女神は羽梢斗久麻の中にいると言っていた。きっとこの中に洸平の秘められた思いが隠されている。だが、この時の恭平には読み解くことができなかった。
【羽梢斗久麻(はこずとくま)】
洸平自身が名づけた芸名だ。
「どうしてその名前にしたんだ?」
「この中に、女神がいるから」
洸平はそれ以上何も言わず、爽やかな笑顔を恭平に向けた。
それから羽梢斗久麻としての声優人生が始まる。
キャラクターに声を吹き込んでいる姿は、まさしく水を得た魚のようだった。
普段の穏やかな口調からは想像もできないほどの冷徹さを含んだ声で見事に演じ、配信がスタートすれば、顔出ししないというミステリアスさも相乗効果を生み、人気を博していった。
声優になりたいと宣言し、1年半でここまでやってのけるとは、さすがの恭平も舌を巻いた。同時に、自分の後ろに隠れるように生きてきた洸平が、何故ここまで強い意志を持ち前に進むことができるのか、その根底にあるものを知りたいと思った。洸平の言っていた女神という存在が影響していることは確実だ。
女神は羽梢斗久麻の中にいると言っていた。きっとこの中に洸平の秘められた思いが隠されている。だが、この時の恭平には読み解くことができなかった。