The suffering of “Ann”(クリスマス企画)
12月13日
澤弥の部屋に転がり込んで、1週間程経った。
仕事場には、あのストーカーが相変わらず現れてるけど、タクシー使ってでも撒いているから、社長が戻って来るまで持ちこたえられそうだ。
澤弥は仕事以外で部屋から出ちゃダメだって言ってたけど、半月以上も自分の部屋に帰ってないから、手持ちの服だけじゃ心許ない。
少しくらいなら、戻っても…良いよね?
タクヤがいるときだったら絶対に止められるけど、今は会社に行ってる時間。
家業はお兄さんが継いでいるから、澤弥はサラリーマンなんだよね。
「タクヤ、ちょっと借りるね。」
クローゼットを開けて、ニット帽とジャンパーを手に取った。
仕事行くときに必要なら、服を借りても良いって許可は貰ってる。
だけど実際に借りるのは、初めて。
身長は澤弥と殆ど変わらないから、私が袖を通すと男装してるみたい。
あ、イヤリングは取っておこう。
耳から外したときに、片方がベッドの下に転がってしまった。
覗き込んでみると、雑誌みたいなものがある。
昔、蒼の部屋を捜索したときはグラビア誌が出てきたんだよね。
興味本位で引っ張り出してみると、案の定…だった。
ただのグラビア誌だったら腹を立てることなく、澤弥も男だからなぁって、笑って済ませるんだけど…。