The suffering of “Ann”(クリスマス企画)
陽が、傾いてきた。
私が自分の部屋を出たのは昼過ぎだったのに、まだ撒けないでいる。
まだ仕事中だろうという時間に、電話されても澤弥は困るだろう…。
そんなことは分かりきっているけど、私は耐えきれずにケータイを手にした。
『アンジェ、何かあったのか!?』
さっきまで腹を立ててた相手を頼るのもどうかと思うけど、状況把握してるのは澤弥しかいない。
「助けて、どうしても撒けないの!」
『今から助けに行くから、まず落ち着いて話聞くんだ。』
「うん…。」
しばらく澤弥の話を聞いてから、電話を切った。
澤弥がこの街に来るまで40分、しばらく街中を歩いて時間を潰した。
そろそろ、澤弥の指示通りに動いても良い時間…かな?
私は、この辺で一番大きなデパートに入った。
少し中を歩くと、女性専用トイレが見えてきたので、そこに入る。
何が悲しくて、私がトイレなんかに籠城しなきゃなんないのよ…。
専用トイレなだけあって、ドレッサーもある綺麗なところっていうのが救いだ。
そう思いながら、椅子に腰掛けた。