The suffering of “Ann”(クリスマス企画)
巨大ツリーの近くは、恋人たちで溢れていた。
端から見たら、私たちもそう見えるのかもしれない。
外は、冷えるなぁ。
手袋持って来れば良かったな…って思いながら、手に息を吹きかけた。
「アン、手袋無いのか?」
「あ、忘れちゃって…。」
「じゃ、コレはめて。」
澤弥は自分の手袋を外すと、私に渡してくれた。
ただし、右手だけ。
澤弥、左手は…?
手袋をはめた右手で左手を擦っていたら、澤弥が右手を差し出した。
「左手、乗せて。」
何で?私が首を傾げていると…。
「寒いんだから、早く。」
言われたままに左手を差し出すと、澤弥はその手を握って自分のコートのポケットに収めた。
私の左手も、一緒に。
「暖かい?」
澤弥が私に微笑みかけながら、聞いてきた。
いつもより密着してるからか、不覚にも…どくんと胸が高鳴った。
「う…うん、暖かいよ。」