「好き」って言ってよ!
誘拐騒動から数日が経った。

奈帆のスマートフォンから位置情報を割り出した川西の活躍で青葉が迎えにきてくれたおかげで、奈帆は無事に自宅に帰ることができた。

父親が呼んだ警察から事情聴取を受けたが、奈帆は犯人の顔を見ていないことと気がついた時には廃病院にいたことだけを伝えた。

父親や警察からは犯人をかばっているんじゃないかと疑われて本当のことを話すようにと言われたが、奈帆が言い続けたことや青葉が無事に帰ってきたならばいいと言われたこともあり、彼らは根負けしたのかそれ以上は何も言われなかったし、聞かれなかった。

(まあ、この方がいいわよね…。

別に何かされた訳じゃないし、あの子とは本当に同級生と言うだけで他に接点がなかったし)

我ながらやや強引ではあるが、終わり方的にはこれでいいだろうと奈帆は思った。
< 132 / 145 >

この作品をシェア

pagetop