「好き」って言ってよ!
バタンと玄関のドアが閉まった音が聞こえた。

「そう言えば、今日だったか…」

先日の答えを聞く日が今日だったことを奈帆は思い出した。

「言わなきゃいけないんだよね…?」

そう呟いた後で奈帆は息を吐いた。

自分の気持ちを青葉にはっきりと伝えなければいけない、そう約束をしたうえにさらに何日か期限を設けるのは無理だろう。

「認めるって、今さら過ぎるでしょう…」

花恋に言われた重大さに奈帆は両手で頭を抱えたくなった。

彼女の言う通りなのだから、なおさらである。

「好きって…」

自分の気持ちを受け入れた方がいいと思っている自分と今の今まで婚約破棄を口に出しまくっていたくせに何を今さら…と思っている自分がいる。
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