「好き」って言ってよ!
「すみません、奈帆ちゃんはあなたと婚約破棄をしたから…」

そう言った哲郎に、
「ーー誰が婚約破棄をした?」
と、青葉が言った。

「えっ?」

奈帆は何を言われたのかわからなくて、思わず青葉に視線を向けた。

「誰がって…あなた、私と婚約破棄しましたよね?」

何を言っているんだと言う様子で、奈帆は青葉に言った。

「僕は婚約破棄をした覚えがない」

「…はっ?」

(えっ、どう言うことなの?)

奈帆はますます訳がわからなかった。

「君を捨てて川西くんを選んだ覚えはないし、婚約破棄を受け入れた覚えもない。

何だったら、婚約関係はまだ継続中だ」

「はあっ!?」

驚きのあまり、奈帆は思わず大きな声をあげた。

(破棄していないどころか継続中って…な、何でそうなってるの!?)

だけど、青葉が嘘を言っている様子は特になかった。
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