「好き」って言ってよ!
「彼に協力したのは、本当は彼のことが好きだからなんでしょ?

彼のことが好きじゃなかったら協力なんてできないもんね?

だったら、喜んであげるわよ!

私のことなんて気にしないで、彼と一緒になりなさいよ!」

奈帆は川西の背中をバシンとたたいた。

「えっ、あの…」

「このニュースを聞いた時、お母様も大喜びされたんじゃないですか!?

お母様にどう説明するんですか!?

今さら違いますなんて言える訳がないじゃない!

たった1人のお母様を悲しませてどうするんですか!」

「奈帆ちゃん、彼女が困ってる」

奈帆と川西の間に入ろうとした哲郎だったが、
「それくらいにしろ」

青葉が再び奈帆の肩をつかんで自分の方に抱き寄せてきた。

「僕と川西くんは仕事だけの関係だ、それ以上でもそれ以下でもない」

青葉にはっきりと言われた奈帆は口を閉じることしかできなかった。
< 32 / 145 >

この作品をシェア

pagetop