「好き」って言ってよ！
奈帆が口を閉じたのを確認すると、
「お父さん、よろしいですよね？」

何故か青葉は父に向かって言っていた。

「何が？」

思わず聞き返した奈帆に、
「彼女と一緒に暮らしても構いませんよね？

婚約者だから一緒に暮らすのは当然だと思うのですが、よろしいですよね？」

青葉はそう言ったので奈帆は自分の聞き間違いじゃないかと思った。

「ああ、そうだな」

父はそう返事をしたので、
「ちょっと待って、勝手に話を進めないで！」
と、奈帆は止めに入った。

「大事な話なのに“婚約者だから”で片づけないでよ！

お父さん、ちゃんと考えてよ！」

「考えるも何も青葉くんは奈帆の婚約者じゃないか。

結婚前だからどうかとは思うが、青葉くんならば問題ないんじゃないか？」

「ふざけないでよ！」

奈帆は大きな声で怒鳴った。
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